美術大学に行くために渡英してから、丸十年が経ちました。
先日、その十年という月日の中でも、間違いなく「ワースト3」に入る悪夢のような日に、目出たく永住権を取ることができました。
これまでワタシは、運よくクロイドンにあるホームオフィス(英国内務省)の移民局に行ったことがありませんでした。はじめの4年間は空港でビザをもらって、それからは郵送での申請と日本でのエントリークリアランスを行ってきたからです。
しかし、今回ばかりはもう逃げられません。郵便でパスポートと申し込みフォームを送って数ヶ月もまだかまだかと待つのはご免だと、ビザの即日交付を望んだからです。
今回の申請でもアンラッキーなことが度々重なり、(イギリスの移民局の審査にはアンラッキーなことはつきものですが、)その一日の自分をふりかえってみると、度を超えてテンポが良く、コミカルで、なおかつフランツ・カフカのお話に出てくるような、よく分からない穴(?)にハマってしまった主人公をリアルに演じることが出来たような気がします。
実際、映画ではみたり感じたりしたことはあったけど、この種の恐怖が自分の身に降り掛かってきたのは初めてだったのですよね〜(たぶん)。
自分がそんな思いをする事になるなんて、全くをもって思っていなかった前日までは、永住権を得たって今までと何も変わらない生活をただ営んでいくだけなんだろうと漠然と思っていましたが、今では何かが違います。
ワタシの中に何かが芽生えたような・・ これがその「実感」というものなのか、それとも、これからまたイギリスという国に住んでいく上で降り掛かってくるであろう「特有の何か」を受け止めていく覚悟や諦めのようなものに代っていく小さな何かなのかもしれません。
なにはともあれ、あの長くて凝縮された特別な一日に、すべてが終ったような感覚に陥りました。それを安心と呼ぶのでしょう(か?)。